売上は立っている。請求書も出している。

それなのに、来週の給与と仕入代金を払う現金が足りない。中小企業では、こうしたことが普通に起こります。

たとえば売掛金500万円の入金が翌月末にある。ただ、その前に給与200万円、仕入150万円、家賃50万円の支払いが来る。この場合、利益が出ていても先に400万円の現金が必要です。

「利益が出ている」と「今日払える現金がある」は別です。

こうした「入金予定はあるが、支払いの方が先に来る」場面で使われる選択肢の一つがファクタリングです。

S-COM(エスコム)は、法人が保有する売掛金を買い取るファクタリングサービスです。公式LPでは、手数料1.5%から、最短即日、売掛金30万円から、全国対応、法人対象といった条件が案内されています。

ただし、最初に分けて考えたいことがあります。「売掛金はある。でも入金日まで現金が持たない」という一時的な資金ギャップなら、S-COMは候補になり得ます。一方で、毎月慢性的に赤字で資金不足が続いている会社では、ファクタリングだけで根本解決しにくいです。

ファクタリングで何が変わるのか

ファクタリングは、売掛債権を本来の入金日前に売却して現金化する方法です。銀行融資のように借り入れるのではなく、売掛金を期日前に買い取ってもらう仕組みです。

金融庁は、一般的なファクタリングについて、事業者が持つ売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスであり、法的には債権売買、つまり債権譲渡契約だと説明しています。

ここで大事なのは、ファクタリングは「タダで入金が早くなる」ものではないという点です。見るべきなのは、「何日早く入るか」だけではありません。そのために、いくら手数料を払うのか。早く入るメリットと、受け取れる金額が減るデメリットを同時に見ます。

S-COMの主な条件

S-COMの公式LP・関連ページで確認できる主な条件は次の通りです。

項目内容
対象法人
売掛金30万円から対応
手数料1.5%〜
2社間5〜10%
3社間1.5〜8%
資金化最短即日
契約オンライン契約対応
対応地域全国
赤字・債務超過それだけを理由に断らない旨を公式案内
税金・社会保険滞納相談可能との案内
個人事業主利用不可

「手数料1.5%〜」は下限です。実際の手数料は、2社間か3社間か、売掛先、売掛債権の内容、審査条件などで変わる可能性があります。

だから、1.5%だけを見て判断しない方がいいです。自社の場合に何%になるのか、最終的にいくら振り込まれるのかを確認する必要があります。

500万円を現金化すると、手数料でいくら変わる?

売掛金500万円を現金化する場合、手数料率によって受取額は大きく変わります。

手数料率手数料受取額
5%25万円475万円
8%40万円460万円
10%50万円450万円

同じ500万円でも、5%と10%では手数料に25万円の差があります。

一時的な資金不足を乗り切るためなら、手数料を払う意味があるケースはあります。たとえば、支払い遅延で取引停止になったり、給与遅配になったりするリスクを避けられるなら、コストとして判断できる場合があります。

ただし、毎月繰り返すと重いです。500万円を10%で現金化すれば50万円。これを何度も続けると、本来残るはずの粗利を手数料が削っていきます。

だから、必要以上の売掛金を現金化しないことが重要です。まず「いくら必要か」を出してから、現金化する売掛金を選びます。

まず「いくら足りないか」を出した方がいい

たとえば現在預金が200万円あるとします。2週間以内の支払いが、給与180万円、仕入120万円、家賃40万円。合計340万円です。

この場合、単純な不足額は140万円です。

ここで「500万円調達したい」と考える前に、「実際には140万円不足している」と確認する方が重要です。必要額が140万円なら、500万円全額を早期資金化する必要はないかもしれません。

いつ・いくら足りなくなるかを確認する

90日資金繰りシミュレーターで、入金予定と支払い予定を並べると、資金ショートする日と不足額の目安を確認できます。ファクタリングを検討する前に、まず不足額を数字にしておく方が判断しやすいです。

S-COMには2社間と3社間がある

S-COMでは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの案内があります。

2社間

2社間は、自社とS-COMで契約する形です。

公式情報では、売掛先の承諾が不要で、S-COMから売掛先へ連絡しない旨が案内されています。手数料は5〜10%です。

取引先に知られずに現金化したい会社には選択肢になります。ただし、3社間より手数料は高くなる傾向があります。

3社間

3社間は、自社、S-COM、売掛先の3者で契約する形です。

公式情報では、手数料は1.5〜8%。2社間より低くなりやすい一方で、売掛先の承諾が必要です。

つまり、「手数料を抑えること」と「取引先に知られないこと」のどちらを重視するかで、選択肢が変わります。どちらが正解というより、会社の状況によって判断する話です。

明日の支払いに間に合わせたい会社では、スピードも重要

S-COMの公式LPでは、最短で申し込み当日の資金調達が可能と案内されています。また、契約完了後5〜30分以内に振り込む旨も掲載されています。

ただし、「問い合わせれば必ず当日入金」と考えるのは危険です。必要書類、審査、契約条件、申込時間によって変わる可能性があります。急ぎの場合は、何時までに何を提出すれば当日の振込に間に合うのかを最初に確認してください。

赤字決算や税金滞納があっても相談対象

S-COMのFAQでは、赤字や債務超過だけを理由に断らない旨、税金や社会保険の滞納があっても相談できる旨が案内されています。設立後まだ一度も決算を迎えていない法人についても、売掛債権があれば相談対象になる内容が掲載されています。

ただし、「赤字でも必ず通る」「滞納があっても必ず利用できる」とは言えません。ファクタリングでは、売掛債権の内容や売掛先、契約条件などを含めて審査されます。

個人事業主はS-COMを利用できない

S-COMは法人対象のサービスです。

公式LPでも、個人事業主は利用できない旨が明記されています。個人事業主の場合は、別の法人以外も対象にしたファクタリングサービスや、金融機関、公的支援などを確認する必要があります。

S-COMが合いそうな会社

S-COMが候補になりやすいのは、売掛金はあるのに入金前に給与、仕入、家賃などの支払いが来る法人です。

数日以内に現金が必要で、銀行融資では支払日に間に合わない。取引先に知られずに現金化したいので2社間を検討したい。30万円以上の比較的小さな売掛金を持っている。赤字や税金滞納などで銀行融資が難しいが、回収予定のある売掛債権はある。

こうした会社では、S-COMに条件を確認する意味があります。

ただし、条件に当てはまるから必ず使うべき、という話ではありません。手数料を払ってでも守るべき支払いなのか。前倒し後の翌月資金繰りは回るのか。そこまで見てから判断します。

逆に、S-COMを急いで使わない方がいいケース

一番注意したいのは、毎月慢性的に資金が足りない会社です。

ファクタリングは、来月入る予定の売掛金を今月へ前倒しします。今月は楽になります。しかし、本来来月に入る予定だった現金は減ります。

そこでまた不足し、さらに別の売掛金をファクタリングすると、手数料が積み重なります。

金融庁も、高額な手数料のファクタリングを利用すると、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険があると注意喚起しています。

一時的な資金ギャップと、慢性的な赤字は分けて見た方がいいです。慢性的に足りない場合は、固定費、粗利、返済、在庫、銀行借入、公的支援なども含めて見直す必要があります。

手数料だけは、契約前に金額で確認する

契約前に見る数字は、手数料率だけではありません。

  • 売却する売掛金
  • 手数料
  • その他費用
  • 最終振込額
  • 振込日

たとえば300万円必要なのに、300万円の売掛金を現金化して手数料差引後270万円しか入らないなら、必要額に届きません。

「手数料○%」ではなく、「最終的に何円振り込まれるか」を確認してください。その金額で支払いを本当に乗り切れるかを見る必要があります。

S-COMへ相談する前に、この3つだけ確認しておく

相談前に、最低限この3つを整理しておくと話が早くなります。

  1. いつまでに現金が必要か
  2. いくら足りないか
  3. どの売掛金を現金化するか

たとえば、9月5日の給与支払までに現金が必要で、その時点で180万円不足する。現金化候補は、売掛先A社への請求額300万円、入金予定日は9月末。

ここまで出せると、ファクタリングが必要か、必要額はいくらか、どの売掛金を使うべきかを判断しやすくなります。

S-COMの利用は4ステップ

S-COMの公式LPでは、利用の流れとして次の流れが案内されています。

  1. 申込・無料相談
  2. 打ち合わせ・提案
  3. 契約
  4. 振込・資金調達完了

オンライン契約にも対応しており、契約完了後5〜30分以内に振り込む旨の案内があります。

ただし、これは常にその時間で完了する保証ではありません。急ぎの場合ほど、提出書類、審査にかかる時間、契約方法、振込可能時間を確認してください。

ファクタリングを使うなら「次の入金後」まで見る

ファクタリングは、今日の支払いを乗り切るためだけに見ると判断を誤ることがあります。

たとえば9月に300万円を前倒しする。9月は乗り切れる。しかし、本来10月に入る予定だった300万円は減る。すると10月末に再度資金不足になる。

こうなると、また別の売掛金を前倒しする必要が出てきます。手数料も重なります。

だから、ファクタリングを使うなら、今日だけではなく次の入金後まで見ます。少なくとも90日先まで、前倒し後の資金繰りを確認しておく方が安全です。

90日先までの資金不足額を確認する

S-COMは「売上があるのに入金が間に合わない会社」の選択肢

S-COMは、公式案内上、手数料1.5%から、最短即日、30万円から、法人専用、全国対応のファクタリングサービスです。

ただ、経営者が本当に見るべきなのは、サービス名よりも次の4点です。

  • いくら足りないか
  • 何日間足りないか
  • 手数料差引後にいくら入るか
  • 売掛金を前倒ししても翌月以降の資金繰りが回るか

まず90日先までの資金不足額を確認し、そのうえで必要ならS-COM等の買取条件を確認する。この順番で考える方が、資金繰りの判断を間違えにくくなります。